帰国子女の中学受験㉓ 英語受験

帰国子女の中学受験㉑で、小学校低学年で帰国しても帰国子女枠で受験できる学校があるのか見てみました。この時に、帰国子女枠ではなくて一般枠としての受験で英語を選択できる学校があることに気付きました。

よく考えたら、慶應湘南藤沢中等部がそうでしたよね。帰国子女も一般も同じ問題(国算理社or国算英の選択)でした。今まで意識していませんでしたが、同じような学校が他にもあるんですね。今回は帰国子女受験ではなくても、英語受験が可能な学校をちょっと見てみようと思います。英語受験可能ということは、入学後の中学高校でも英語教育に力を入れている可能性が高いと思います。

 

①英語受験の状況

まずは、英語受験が可能な学校数の推移です。2014年ごろから英語受験を行う学校が出てきたと言われていて、直近5年間ではこんな感じです(首都圏模試センター)。

2016年64校⇒2017年95校⇒2018年112校⇒2019年125校⇒2020年141校

5年で倍以上に増えていることがわかります。公立小学校では2020年度から5年生6年生で英語が正式な教科となったそうです。ですので、今後はますます英語で受験できる学校が増えていくでしょう。うちの下の子が受験するのは5年後なので、選択肢が増えているとうれしいです。 

 

②採用している学校

英語入試を実施している学校のリストを拝見しましたが、正直に言うと知らない学校がほとんどでした。これは、もちろん私の勉強不足が一番の原因でしょう。 しかし、御三家やそれに準じるような超難関校で英語入試が導入されていないことから、上位校や有名校では英語入試に消極的であることが伺えます。

その理由を考えてみました。

  • 現状の生徒募集がうまく機能していて入試を変更する必要がない
  • 一般受験者と英語受験者のように英語力に差がある生徒がいる場合、取出し授業等の対応が必要となるが、リソースやノウハウがない
  • 上位校では6年間の育成カリキュラムやノウハウが確立されていて、入学時点で英語力が高くなくても十分に育成できる

では、帰国子女受入校で受験科目に英語がある学校が、一般枠で英語入試を採用していない理由は何でしょうか?

これはよくわかりませんが、やはり日本でずっと生活していた小学生が、帰国子女と同等の英語力を身に着けるのは難しいからだと予想します。特に英検2級や準1級となると日本の高校卒業レベルになってしまいます。小学生で他の科目も勉強しながら英語をそのレベルにするのは非常に困難なのではないでしょうか。例えば、日本に住んだことのない外国の小学生が、日本人の同年代と同等の日本語力を身に着けられるか?と考えたらその困難さがわかると思います。

 

③試験形式

では、英語受験を採用している学校がどの程度のレベルの試験を実施しているか見てみます。まず、試験の形式は帰国子女入試と同様に学校によって様々なバリエーションがあります。

 例えば

  • 英検などの資格保持を条件に、独自の英語試験を実施しない学校(これには、国算などの科目試験を実施する学校と面接のみの学校があります。)
  • 英語に加え、国算の3科目試験を実施する学校
  • 英語と算数または国語の2科目試験を実施する学校(算数or国語の選択という学校もあります)
  • 英語1科目試験を実施する学校
  • 英語でのプレゼンや面談のみの学校

これに加えて出願書類に作文が含まれていたり面接の形式もいろいろあるので、対策は大変かもしれません。

また、英検を特待生の基準にしている学校や英検のレベルに応じて加点する学校もあるようです。

 

④レベル感

英語のレベルについては、何も書いていない学校の方が多いので、実際は過去問を入手したり学校に問い合わせる必要があると思います。記載されている範囲では、学校によって非常に幅が広く、英検4級相当としている学校から英検2級以上を想定している学校まであります。また、明示されていませんが、慶應SFCは英検準1級レベルと思われます。

このようにレベルにかなりの差がありますが、「帰国子女の中学受験⑩ 英語受験と英語の授業」でも書いたように、入試のレベルは入学後の授業のレベルにつながっていると考えられるので、簡単ならいいというものではなく、自分のレベルに合った学校を探すことが大切になるでしょう。

帰国子女の中学受験㉒ 模擬試験1回目・新学期の受講科目

さて、進学塾では2月に東京神奈川の受験が行われて6年生がいなくなるのに合わせて、2月から新年度の講義が始まります。うちの子は、以前から通っている塾に申し込みをするのですが、英語を受講するかどうか、ちょっと悩みました。

「生活で使う英語と受験英語は違う!!」ってよく聞くんですよね。うちの子が通っている現地校は2020年の3月にコロナでクローズし、それ以来一度も登校していません。ですのでオンラインでの授業の様子を見ることができるのですが、一応現地の同学年の子供や先生とは普通にしゃべっています。また、近所に住んでいる方々とも普通にしゃべっています。英語の本も読んでいるようなので、まぁまぁできてるのかなと思っていますが、受験で出るような文法問題はできるのか???という疑問はありました。

 

模擬試験の結果

そんな時、ちょうど某塾の帰国子女用の模擬試験がありました。

正式な点数や偏差値は後日送っていただけるようなのですが、私が採点してみたところ、非常に厳しい結果でした。特に、国語の漢字を含めた知識問題は壊滅的。英語も全く期待していた点数には届いていません。

国語の知識問題は急にできるようになるものではないので、地味に覚えていくしかないのはわかっていますが、効果的な方法が思い浮かびません。本人は興味を示しませんし、日本語に触れる時間も短いので自然にできるようになるわけはありません。とりあえず、ちょっと難しめの漫画とかで気を引いてみようかと思います。

英語は間違えた個所の分析をまだしていませんが、何が苦手なのかを確認して文法の勉強をある程度していかないといけないと思いました。私が危機感を持ったのは、子供はできたと思っていたからです。本人は「かんたんだったよ~」とか言ってましたから。。。多分、普段使っている英語は、文法的に間違っていても誰も直してくれないということだと思います。確かに、日本の学校で小学校四年生がしゃべっている日本語の文法はぐちゃぐちゃですよね。

 

新学期の受講科目

模擬試験の結果を受けて、英語もある程度勉強した方がよさそうだということはわかりました。ただ、塾の授業を受けるかどうかはまた別の問題です。塾の授業のレベル感や授業の内容を確認して、子供の弱点克服につながりそうか確かめたいところです。

とりあえず、算数と国語は申し込み完了。英語については、お試し受講できないか問い合わせてみたところ、快くOKとのお返事をいただきました。2月の最初の講義を見てから受講するか判断しようと思います。こういう時、オンライン授業って便利ですよね。教室での対面授業の場合、どんな授業をしているかは子供から聞くしかないので全くあてになりませんが、オンラインなら横からのぞくことも可能ですからね。

お試し受講後、受講するか問題集を買って自宅学習するか決めたいと思います。

帰国子女の中学受験㉑ 妹のこと

帰国子女の中学受験①から⑳まで、長男の受験について考えてきましたが、長女が現在小学校1年生なのです。まだまだ自由気ままに生活していますが、帰国のタイミング次第で長男と同様に帰国子女枠での中学受験が可能かもしれません。そこで、長女のためにいつ帰国するとどの学校が帰国子女枠で受験できるのか、ちょっと見てみようと思います。

検討するのは直近の募集要項の帰国後何年以内から帰国子女枠の受験が可能かという点のみです。まぁ、帰国のタイミングはこちらの都合を無視して勝手に決まってしまうので、今調べても意味ないんですけどね。。。

 

まず、驚いたのは制限なしの学校があるということです。海外で生活してなくてもOKなようです。もはや帰国子女枠とは呼べないかもしれません。

・洗足学園

今まで男子校と共学校を見てきた感覚だと、こういう枠を広げる学校は、受験生を多く確保したい新興校でちょっと偏差値低めな学校が多かったと思います。しかし、洗足といえば女子校なのに私でも知っているぐらいの知名度ですから、単に受験生確保が目的ではないのでしょう。偏差値も四谷大塚結果80偏差値で海城中学や広尾学園と同等です。

次に、海外に在住経験があれば滞在年数も帰国時期も問わないという学校。

・江戸川女子中学校

・鎌倉女学院中学校

さらに、海外在住経験が1年以上で帰国時期は問わないという学校。この在住経験1年が小学生として1年なのか、未就学児の期間も入れていいのかわかりません。ただ、現時点で要件を満たすことはほぼ確実なので気にしないことにします。

・カリタス女子中学校

・公文国際学園中等部

・桜丘中学校

聖ヨゼフ学園中学校

桜丘中学校は出願資格に「入学後、楽しく学校生活を送ることができる者」と記載されていました。なんだか、ほのぼのしてそうでいいですね。

さらに、帰国後5年以内なら受けられる、つまり2年生で帰ってもOKな学校もありました。

・桐蔭学園中等教育学校

・桐光学園中学校(2年生の1月帰国で受験可能)

 

私がささっと調べた中ではこんな感じです。具体的な期間と学校名を書くのはここまでにしておきますが、このように低学年で帰国しても帰国子女として受験できる学校もあることがわかりました。帰国子女枠で受験するために、現地校の同学年と同等の英語力をどうやって修得するかを考えておかないといけないですね。

なお、帰国後3年以内ならかなり多くの学校が受験可能となります。これは、東京私立中学高等学校協会が帰国子女を「原則として1年以上海外に滞在し、帰国後3年以内の者」と定めているからです。ですので、募集要項の記載としては、この協会の定義と同じ記載の学校が多いのです。

では、募集要項に記載されている帰国子女の要件について、厳格に適用されているのかというと、学校によってはそうでもないようです。要件に近い場合は相談するように記載されている学校も多いですし、そのような記載がない場合でも相談できる場合もあるそうです。実際、ある超有名校では募集要項に帰国後2年以内と記載されていますが「相談してくれれば1年生で帰国していても受験できます。」とおっしゃっていました。。。

逆に、厳格に適用している学校もあります。例えば海城中学校の募集要項では、4年生の7月1日以降に帰国となっていますが、現地校修了時期の関係で6月に帰国したというような場合は相談に応じるが、それ以外は認めないとおっしゃっていました。

 

結局は低学年で帰国しても受験できる学校はあるし、募集要項上の要件を満たさない場合でも行きたい学校があれば問い合わせてみれば受験できる可能性もあるようです。ですので、まずは英語力の維持向上と、行きたい学校探しが大切になるのかなと思いました。

帰国子女の中学受験⑳ 塾選び

今まで、帰国子女受入校について見てきましたが、そこにたどり着くためのパートナーになってくれる塾について、あまり調べていませんでした。現在米国で生活しているのですが、通える範囲には1つしか受験対応の塾がなく、選択肢がなかったため調べるという発想がなかったのです。

しかし、現在はコロナの影響で対面授業は行われておらず、オンライン授業となっています。「だったら通える範囲に教室があるかどうかは関係ないよね」と思ったのです。また、いつか帰国したときに備えて帰国後もどんな塾があるのか選択肢を認識しておくことは安心にもつながりますので、ちょっと調べてみようと思います。

 

①オンライン対応の塾

四谷大塚NET海外:教材は四谷大塚の「予習シリーズ」です。これは中学受験で最も多くの受験生に使われているそうです。このコースは、生徒が各自で「予習ナビ」という授業動画での学習と教材を使った自習を行います。1週間ごとに学習内容がマスターできたかの週テストを受けます。24時間以内に採点結果が返送され、間違えたところを「復習ナビ」で再確認することによって定着させます。この、学習⇒テスト⇒復習というサイクルで学力を定着させる流れは国内の四谷大塚と同じメソッドだそうです。

ただ、なぜか2科目受講はなく、国算理社4科目セットの受講となるそうです。。。。

JOBA:個別指導と集団指導を選択できます。こちらは四谷大塚NETのように授業動画を見るのではなく、オンラインの生授業です。コースも難関私立中対策だけでなく、広尾学園や慶應SFCに特化したコース等、複数のコースが設定されていました。

一人で黙々と勉強できるタイプの子は四谷大塚NETでもいいかもしれませんね。

 

いろんな塾がオンラインで授業をしていると思うんですけど、あんまり探せなかったです。今の塾に特に不満があるわけではないのでこのまま継続決定です。

 

②帰国後の塾

いつ帰国するかわからないのは駐在員の宿命です。ですので、帰国子女受験に対応してくれる塾について知っておきたいなぁと思いました。一応、東京近辺に戻る前提にしておきます。

まず、大手塾で帰国子女対応がどうなっているか見てみます。

SAPIX国際教育センター:校舎は代々木駅すぐ。小6は国算2科目週2日で月額45,600円。英語は別枠でSAPIX English 帰国生コースへの申し込みが必要です。こちらは週1日2コマで33,000円。後期になると授業料が上がります。英語は英検準2級以上のレベルが必要で、受講資格認定テストがあります。ホームページからは直前の志望校別講座やエッセイライティング講座、面接対策等をやっているのかは不明です。

 

四谷大塚:帰国子女対応で見つけられたのは、上に記載した「四谷大塚NET海外」のみでした。ただ、通常教室で2科目受講が可能なようです。6年生前期で月額44,500円です。英語だけの塾が見つかれば、一般受験の子たちと机を並べて頑張るのもいいかもしれません。ただ、志望校別講座や面接対策などはないと思います。

 

早稲田アカデミー:ホームページでは、首都圏約170校で受講が可能と記載されていますが、当然一般生と同じクラスということでしょう。帰国子女向けの講座やイベントを実施していますが、会場はほとんどがExiv渋谷校です。面接練習や願書添削もしてくれるそうですが、各校舎でやってくれるのかは不明です。Exiv渋谷校だけなのかもしれません。また、ホームページでは2科目受講ができるか記載されていなかったのですが、他の方のブログで2科目受講しているという記載を見かけました。

 

日能研:日能研グローバル・サービスというサイトはありますが、帰国子女専門のコースや講座は特にないようです。こちらも四谷大塚と同じで2科目のみで受講できますが、2科目受講ができるのは一番下のクラスだけのようです。また、英語は他の塾を探さなければいけないですし、学校別対策や面接対策もなさそうです。

 

大手塾なのに学校のホームページと比べるとちょっと見にくかったです。スケジュール、コース設定、料金ぐらいはわかりやすいところに書いておいて欲しいですね。この中では早稲田アカデミーが一番帰国子女受験に対応していると思いましたが、実態は見学や体験受講してみないとわかりません。

 

次に、帰国子女に特化した塾を見てみます。

JOBA:校舎は3つで、洗足池駅、たまプラーザ駅、新百合ヶ丘駅です。生徒は帰国子女のみなので気兼ねなく通えそうです。小6は国算が週2回で国語が11,600円、算数が19,360円、英語は土曜日でアドバンスコースが22,160円、エッセーが15,840円。

その他にもいくつか志望校別講座などが用意されています。

 

ena国際部:校舎は渋谷、東京(茅場町)、あざみ野、西船橋の4か所です。通常の授業の他に無料の補習があるようです。6年生の英語は志望校別コースとなっています。また、直前の学校別対策やオンラインの過去問道場などで演習を行います。受講料はホームページ上に記載がありませんでした。

 

 結局帰国子女に特化した塾の方が直前期まで安心して通えるのかもしれません。ただ、大手塾と比べて教室が少ないので、住む場所の近くにあれば帰国子女特化塾を選び、近くになければ大手塾で2科目受講になると思います。大手塾を選ぶ場合、早稲田アカデミーのExiv渋谷やSAPIXの国際教育センター(代々木)が近ければいいですが、通えなければ英語は他の塾を探す必要がありますし、直前期の学校別対策等々をどうするか対応が必要となります。

結論としては 帰国子女特化塾>早稲田アカデミー>四谷大塚 って感じです。帰国時に住む場所を自由に決められるのであれば「帰国子女特化塾の教室に通えるか」も条件の一つにしておいた方がいいかもしれません。

帰国子女の中学受験⑲ 受験校の決め方は?

①一般的な受験校の決め方

中学受験で第一志望に合格する割合は、3割程度といわれているようです。これは、自分の学力よりも偏差値で5~10程度高い学校を第一志望としているケースが多いからだそうです。そりゃ受かりにくいですよね。。。

で、第2志望校を自分の偏差値と同じぐらい、抑えの第3志望校を偏差値5~10程度低い学校とするのが一般的だそうです。また、東京神奈川の受験が2月1日から始まるため、その前の1月に受験できる埼玉や千葉の学校を練習校、最悪のケースである全落ちを防ぐための御守り校も含め、5校から7校を受験する方が多いそうです。また、2月1日の午前午後の受験結果次第で2月2日以降の受験校を組み替えるような戦略を考えるご家庭もあるそうです。

②帰国子女受験の受験校の決め方

では、帰国子女受験はどうでしょうか。

まず、一般受験と違って、受験日が学校ごとにバラバラです。そのため、2月1日から4日の間に勝負するというような短期決戦ではありません。早い学校は10月か11月ごろから始まり、一般受験と同日受験の学校もあるので2月上旬まで約3か月の長丁場です。この間、受けようと思えば10校程度は受けられますし、もっと詰め込もうと思えば20校ぐらい受けることは可能です。

ですが、英語のみで受験する学校と国算2科目の学校を両方受験するのは負担が大きいでしょうし、校風が全く違う学校を組み込むと、目指す学校像がボケてモチベーションが上がらないのではないでしょうか。

費用面も考えなければなりません。受験料だけでもだいたい3万円ぐらいはかかりますので、10校受ければ30万円近くかかります。また、入学金も30万円ほどが一般的なので、タイミング次第で実際には入学しない何校かに入学金を払ったら受験だけで100万円以上が必要になってしまいます。

ですので、子供との話し合いでは、第一志望校を決めて、校風が似ているところを第2志望、第3志望として探しておくという方法にしたいと思います。とはいえ、一般受験と同様に全落ちは避けなければなりませんので、親としては、より受かりやすい学校で子供と合いそうな学校を何校か探しておけばいいかと思います。そうすると、やっぱり7校前後受験することになるのでしょうか。

今から節約します。。。。

 

③話し合う項目

さて、これまで帰国子女受入校について何校か調べてみました。年も明けて、塾では2月から5年生の講習が始まるので、その前にどんな学校を目指すのか子供と話してみようと思います。

まず、本人も英語力は保持したいと思っているようなので、次のような選択があることを説明します。

・国際クラス

・一般生と同じクラスで取出し授業

 

国際クラスを目指す場合、選択肢は限られていてわかりやすいと思います。広尾AG、広尾小石川AG、攻玉社ぐらいでしょうか。前2者は英語以外の授業もほとんどが英語なので、日本語がちょっと心配です。塾の先生は「攻玉社は中学3年間クラスが変わらないので結束力がありとっても楽しそう」とおっしゃっていましたが、フィットしなかった場合は3年間辛いだろうなぁ、、、と考えてしまいます。

どちらにしても、国際クラスのある学校を選んだ場合は英語重視の受験勉強となります。また、広尾系と攻玉社では校風が全然違うと思うので両方を志望校にするのはどうなんでしょうか?。

その他の場合は取出し授業のある学校を目指すことになるわけです。こちらは2科目受験の学校もありますが、基本的には3科目バランスよく学習する必要があると思います。 

次に、男子校か共学校かについて、一応聞いてみます。6年間通うので結構大きな問題かと思います。この点については、まだ本人もよくわかっていないと思いますが、一応確認します。

また、部活は何をやりたいのか、どのぐらいやりたいのか聞いてみます。中高の部活って学生生活の中に占める割合が大きくなかったですか?部活を思いっきりできたかどうかは6年間の充実度にかなり影響すると思います。

制服については、学ランがいいとかブレザーがいいとかありますよね?でも、うちの子は服装に関心はなく、制服には全く関心を示さないので考慮外とします。

あとは、学校の教育方針等を説明してもなかなか分かってくれないと思うので、どんなイベントがあるかを説明して、雰囲気を感じ取ってもらう程度でしょうか。

親としては当然進学実績も気にしていますし、費用、お弁当が必要かも考慮したいところです。このあたりは、子供に言ってもよくわからないでしょうし、ざっくりした説明に留めます。

行きたい学校ができてくれれば少しは勉強と向き合えるようになるかも、と期待しています。

帰国子女の中学受験⑱ 攻玉社

伝統校からもう一つ、攻玉社について見ておきたいと思います。

 

①沿革

 江戸時代の1863年に蘭学塾として開設。1872年に私塾から学校へ。1925年海軍中学校へ改称。1947年攻玉社中学校発足。1948年攻玉社高校発足。1990年国際学級開設。

②概要

 品川区の不動前から徒歩1分。駅から近いのは魅力的ですね。校舎は1号館から4号館まであり、メインとなる1号館は2003年完成。1500人収容の体育館兼講堂や情報科教室があります。また、室内温水プールを完備しています。水泳部に入りたい人はいいかもしれませんね。写真で見る限り、グランドはそんなに広くはなさそうです。ですので、運動部の中には校外の施設で練習することもあるようです。珍しい部活動としてはレゴ部、ガンダム研究部などがあります。男子校らしいですね。なお、一定の要件を満たすと、新しい同好会や愛好会を作れるそうです。

生徒数は1学年230名~240名ほどで、6クラスあります。そのうち1クラスが国際学級です。中学3年と高校1年時には選抜学級が1クラス設けられます。高校2年から文系と理系に分かれ、志望校に応じた少人数クラスとなります。制服は紺の学ランです。海軍型学生服なのでボタンがありません。始業は8時30分。ランチは原則としてお弁当だそうですが、食堂が完備され、ラーメン、カレー、丼物、定食があるようです。

③教育目標

 校訓は「誠意・礼譲・質実剛健」です。また、元海軍学校なので、海軍の標語である「スマートで、目先が利いて几帳面、負けじ魂。これぞ船乗り」。これらの精神と高い学力を兼ね備えた進のある男性を「玉社男子」と呼び、一本芯の通ったスマートな男性を理想像としているそうです。また、道徳教育を基礎とし、生徒の自主性尊重、自由な創造活動を促進するとともに強健な体力、旺盛な気力を養うことを目標としています。

④帰国子女のケア

概要にも書きましたが、中学1年から国際学級があります。しかも3年間です。 この3年間は原則クラス替えなしで、英語だけでなく国語と算数もレベル別の授業となっています。3年間同じクラスなので、馴染めなかった場合は辛いかもしれません。

授業以外の行事や部活動で一般学級の生徒と馴染んでいって高校1年から一般学級に合流します。また、国際学級でも成績の高い生徒は、本人同意のもと中学3年次に選抜クラスに移籍することもあるそうです。

⑤その他の特徴

教育目標から、かなり男子校っぽなという感じが漂っています。ホームページを見るだけでもその校風は伝わってきます。また、行事や日常生活にもその精神が反映されているようです。例えば耐久歩行大会とか、各授業の開始時に黙想をするとか。

⑥に書きますが、近年は進学実績も良好なようです。学習面のサポートもあり、難関大学を目指すためのハイレベル特別講習や指名制の補習授業、夏休みの特別講習などが実施されています。また、海外語学研修が中3もしくは高1にあり、オーストラリアで2週間ホームステイします。

⑥進学実績

2020年度の実績は卒業生234名中、東大11名を含む52名が現役で国公立大・大学校に合格しています。私大は明治の102名が最多。慶應71名、早稲田68名と続きます。海外大学の合格者は2020年度はいませんでしたが、2019年度には米国の大学に6校合格しています。また、2020年度は現役、既卒合わせて30名が医学部に合格しています。

この学校は、国際クラスの進学実績も開示しています。2019年度は卒業生41名中、東大2名、東工大1名、早稲田25名、慶應24名等、多くの有名校に進学しています。

⑦入試

2021年度入試は1月10日。試験科目は国算または英語です。英語はリスニング10分20点、筆記50分80点です。英語の難易度は英検2級から準一級程度だそうです。なお、国算の難易度は一般受験と同等か若干解きやすくなっているそうです。

また、面接は親子同伴で、参考程度に授業についていけるだけの日本語のコミュニケーション能力を確認するそうです。

ちょっと気になったのは、一般受験ですが、1回目と2回目を両方受けると「熱望組」と呼ばれ若干の加点があるそうです。また、親兄弟が卒業生または在校生の場合もボーダーライン上にある場合には考慮されるそうです。国際学級入試への言及はないですが、もしかしたら親兄弟が卒業生や在校生の場合、有利になることがあるかもしれませんね。

国際学級入試の過去問がネット上では見つけられなかったのですが、学校に行けば入手できるそうです。海外にいる人が多いのだからメール等で対応していただけると助かるんですけどね。。。

 

この学校は、伝統的男子校の雰囲気がホームページからも伝わってきました。そのような校風が好きな方、男同士の友情や結束が好きな方にはいい学校なのではないでしょうか。塾の先生も「攻玉社は3年間クラス替えがないから、結束が強くなって楽しいらしいよ。」とおっしゃっていました。

帰国子女の中学受験⑰ 海城中学校

あっという間に2020年も終わり、新年がやってきました。1月中に子供と今後の方針について話をしたいので、伝統校についてもいくつか見ておきたいと思います。まずは海城中学校です。

 

①沿革

1819年に海軍予備校として麹町に設立。1900年に海軍予備校から海城学校に改称。1927年に現在の場所に移転。2011年に高校募集を停止し、完全中高一貫校となる。設立当時から一貫して男子校です。

②概要

新宿区の新大久保から徒歩5分、副都心線西早稲田から徒歩8分という立地です。歴史のある学校ですが、施設の更新・新設は順次行われていて、平成以降も食堂棟が新設されたりグランドを人工芝に張り替えたりしています。山手線の内側としてはグランドも広く、体育館、プール等も完備しています。また、各理科科目の実験室を集約した理科館を建設中です。

1学年約330人で8クラス。始業は8時20分。カフェテリアは中学生から利用できるようです。制服は学ランです。入学時は特にコース分けはされておらず、高校2年時から理系と文系に分かれます。部活にも力を入れていて、競技かるた部やグローバル部(模擬国連)が活躍しているようです。珍しい部活としては、奇術部、アカペラ部、古典芸能部などがあります。

学校とは直接関係ありませんが、東大受験専門塾として有名な鉄緑会の指定校となっています。

③教育目標

教育目標はリベラルでフェアな精神を持った「新しい紳士」の育成、です。また、建学の精神は「国家・社会に有為な人材の育成」です。海軍予備校だったので、違和感はありませんが、グローバル化にあわせて「有為な人材」を「新しい人間力」と「新しい学力」をバランスよく兼ね備えた人材と定義しています。

学校の方の話では、東大で留年している生徒の中で、海城出身者の割合が高かったという調査があり、大学進学だけではなくその先も見据えた教育をするために様々な取り組みをしているそうです。

④帰国子女のケア

帰国子女だけの国際クラスの設定はなく、一般生と同じクラスになります。これは、一般生と帰国生がお互いに高め合うためとのこと。完全一貫校化したため、生徒の多様性という面で帰国生への期待が高まっているそうです。英語はネイティブ教員による少人数の取出し授業があります。その他にも授業外で海外大学を目指すような人向けのアドバンス講座が設定されています。イベントとしては国内で行うオール英語のイングリッシュキャンプ、中3時のアメリカ研修、高1or2時のイギリス研修などが行われています。また、帰国子女には担任や教科担任だけでなく、グローバル教育部の教員が勉強とメンタルの両面をサポートしてくれます。

⑤その他の特徴

③で記載した通り「新しい人間力」と「新しい学力」をもった人材を育成するために様々な取り組みをされています。

「新しい人間力」はコミュニケーション能力とコラボレーション能力を兼ねそろえた力で、共生・協働の力が求められます。これに対応するための取り組みがいろいろあるようですが、イベントとしてはプロジェクトアドベンチャーというチームでアスレチックフィールドの課題に取り組む活動や、ドラマエデュケーションというグループで演劇を創作、発表する過程で価値観の相違や対話的コミュニケーションを学ぶプログラムがあります。

「新しい学力」は課題設定・解決能力です。これには、自ら課題を設定し、情報を収集・分析して価値評価し、導き出した解をわかりやすく伝えるという総合能力が必要となります。そのための取り組みも様々なものがあるようですが、イベントとしては社会科総合学習や理科の実験・観察・野外観察があります。特に社会科総合学習は、自らテーマを設定し、情報収集し、その専門家や企業に自らアポイントを取って取材したうえでディスカッションし、自分なりの解をレポートにまとめます。

これらの取り組みの他にも、医学部志望者に向けた理社国連携の特別講座である「医学部小論文・面接講座」など独別な講座もあるようです。

⑥進学実績

進学実績は帰国子女受入校の中ではトップクラスでしょう。現役で東大38名を含む、131名が国公立に合格しています。しかも、その内30名が医学部(東大理Ⅲ2名含む)。

既卒では66名が国公立に合格していますが、逆に考えると少なくともそのぐらいの人数は現役進学しないということですね。

私立も現役だけで早稲田97名、慶應69名など素晴らしい進学実績です。また、私立の医学部には現役で51名が合格しています。

海外大学は、ハーバードに1名合格しています。なお、2019年は北京大学に1名合格していました。

⑦入試

2021年の受験日は1月7日です。受験日が横浜の聖光と重なることがあり、その年は受験者が減少します。試験科目は国算面接のA方式と、国算英面接のB方式があります。英語は自由記述の作文です。英語は文法やスペリングではなく、相手に伝わる論理的文章がかけているかがポイントとのことです。国算はAB共通問題で一般入試と同レベル。算数は帰国子女入試のみ過程を記載する記述欄があるそうです。なお、国算は一般入試の問題で60%程度がボーダーになるそうです。

面接は段階評価ではなく24点の配点があります。冒頭に「生活していた国や地域と日本との違い」についての2分間スピーチがあります。

 

当初この学校に対する印象はゴリゴリの進学校でしたが、いろいろな取り組みなどを見てみると、生徒の将来のために工夫されたイベントが多く用意されていて、しかも楽しそうだなと感じました。入試の難易度は高いですけどね。。。