帰国子女の中学受験⑧ 慶応義塾湘南藤沢中等部

東京近郊の帰国子女受験枠のある早慶GMARCHの付属校については「帰国子女の中学受験③」に書いた通り、理社なしで受験できるのは慶應湘南藤沢中等部(SFC)、学習院中等科、青山学院横浜英和、立教池袋、立教新座、中大付属、法政第二の7校でした。

この中で、帰国生の受け入れに最も積極的なのは慶應SFCだと思います。ですので、「帰国子女の中学受験⑦」に書いた付属校のメリットとデメリットを踏まえて慶應SFCの特徴を見てみます。

 

慶応義塾湘南藤沢中等部の特徴

SFCの帰国枠受験では、募集人員30名となっていますが例年40名程度の最終合格者が出ているようです。これは帰国生受入校の中でも多い方です。全生徒に対する帰国生割合は中学で20%、高校では25%になるそうです。

①教育方針、特色

 「社会的責任を自覚し、独立自尊の精神を体現した未来の先導者」を育てることを目的としています。「社会の良識が校則」という考えに基づき、自由な雰囲気のもと責任についての自覚を身につける。また、国際的に活躍するのに不可欠な語学と情報リテラシーを身につける教育に力を注ぎ「異文化交流」と「情報教育」を大きな柱としている。

2人担任制や少人数授業できめ細かい指導を行い、SFC高等部から慶應義塾大学の全10学部に進学することができる。

 ②英語教育

帰国生の割合が高く、交換留学生も受け入れているため自然に異文化交流が生まれる。授業はレベル別。英語で他者の意見を理解すると共に自分の意見も発信していけるようになることを目指す。教科書だけでなく、英字新聞、映画、ドラマなども用いて表現方法などを学ぶ。独自の短期留学プログラムや派遣留学制度がある。

 ③情報教育 

「異文化交流」ともう一つの柱である「情報教育」も充実しています。単にプログラミングを学ぶのではなく、情報と社会の関わりを学び、これからの社会をどのようによくしていくか考えられる人間の育成を目指しているとのこと。そのため、独自の教科「情報」を設けていて、その教育を可能とする設備も整っています。

④大学との連携

まず、敷地が大学のキャンパスと隣接しています。大学の購買や食堂も利用できるようです。学習面では、大学進学を見据えて論文実習や第二外国語等の幅広い科目が用意されています。また、現役大学生や大学OBとの交流、キャリア教育が行われるようです。

 

このように、英語教育が充実しており、帰国生にとって生活しやすい環境で大学受験を気にすることなく自分の興味のあるものに取り組める素晴らしい学校だと思います。また、設備や大学との連携等、付属校としてのメリットを最大限生かしていると思います。

ただ、欠点もあります。私が気になったのは以下の3点です。

①場所

その名の通り、神奈川県の藤沢市にあるのですが、湘南のイメージはなく、山の中です。近くの養豚場の香りが漂ってくるという噂も。最寄り駅の湘南台駅からバスで15分から20分。始業が8時40分と若干遅めですが、都心から通うのはなかなか時間がかかります。朝の時間帯に新宿や渋谷からだと1時間以上かかるようです。6年間続くことなので、どこに住んでいるかによって、かなりデメリットといえるのではないでしょうか。

②費用

初年度納付金が149万5千円、6年間だと軽く700万円を超えます。公立とは比べるまでもないですが、他の私立一貫校、付属校の中でもかなり高い方です。同じ慶應の普通部や中等部よりも高いです。SFC高等部も国内慶應付属校の中では最も高額です。

③入試の難易度

 一次試験の受験科目は帰国生、一般生ともに英算国か算国理社の選択です。受験日も一般性と同じ。問題も一般性と同じです。一次試験合格者のみ二次試験があります。もちろん、帰国子女受験における大学付属校最難関です。入試のことは書くと長くなるので今日はここまでにしておきます。

 

SFCは付属校のメリットをたっぷり享受できる素晴らしい学校ですね。こんな学校で生活できたら楽しそうだなぁと思います。普通にしていれば必ず慶応大学に入れる点も魅力的です。でも、デメリットで書いた3つがあまりにも重いです。特に③入試の難易度は厳しいですね。慶應を受験するような一般生と同じ問題ができるようになるには、相当な覚悟が必要かと。。。。。やっぱり別の学校も見てみましょう。