帰国子女の中学受験⑩ 英語受験と英語の授業

さて、次に中高一貫校の学校の選定を検討しようと思いましたが、慶應湘南藤沢中等部(SFC)と中央大学附属中学校(中附)の違いで気になったところがあったので、ちょっと書いておこうと思います。

それは、受験科目と入学後の英語教育の関係についてです。

・入試は学校から受験生へのメッセージ

受験科目や試験の問題については、学校側から受験生へのメッセージが込められていると思います。つまり、入試は学校が生徒を選ぶ唯一の手段ですから、どんな生徒に来て欲しいのかが試験問題に反映されているのです。「この問題が解けるような子に来て欲しい」という問題を出題しているわけです。

 

・英語の授業のレベルは英語入試のレベルで決まる

ここで、入試科目に英語がある場合、問題のレベルにもよりますが、高い英語力を持った生徒を一定数確保したいという意思の表れだと思います。英語入試で集めた英語圏で現地校に通っていた子や非英語圏でインターに通っていた子を集めるわけです。こうして集めた生徒に対してレベル別の授業を行い、ネイティブの子と変わらない英語力に維持向上させるのです。

逆に、英語入試で一定数の生徒を確保しないとレベルの高い授業が成立しなくなってしまうのです。つまり、受験科目が’算国2科目だったり、算国作文のように英語が受験科目にない学校については、英語の取出し授業を行っていないケースが多いと考えられます。また、英語が受験科目にない学校で英語の取出し授業をやっている場合、その取出し授業のレベルと英語受験の生徒を集めた取出し授業のレベルが同程度とは思えませんよね。英語入試の定員数が少ない学校も同様です。

 

・レベルの高い英語力を身に着けたいなら

帰国子女枠で確保される英語受験生のレベルが、その後の取出し授業のレベルに反映されると考えられます。高いレベルの英語の授業を望むなら、レベルの高い英語の問題を出題している学校に進学すべきということになります。

反対に、英語の入試が子供の英語力をはるかに上回る場合、入学後のレベル別授業で上のクラスに選ばれない可能性もありますし、上のクラスに入ってもついていけない可能性があると思います。

ですので、子供の英語力を維持向上させるということを私立中学進学の目的の一つとするなら、受験科目の英語の有無やそのレベルを確認するのは大切なことといえそうです。

SFCと中附で比べると、中附は受験科目に英語はありませんし面接で英語を使うこともないようですが、SFCは非常にレベルの高い英語の問題を出題しているようですし、帰国子女の受け入れ枠も多いです。ですので、SFCではレベル別の英語の授業が行われ、そのレベルも相当程度高いものと推測できます。一方、中附では入学後も英語の取出し授業は行われていないようです。