帰国子女の中学受験㉓ 英語受験
帰国子女の中学受験㉑で、小学校低学年で帰国しても帰国子女枠で受験できる学校があるのか見てみました。この時に、帰国子女枠ではなくて一般枠としての受験で英語を選択できる学校があることに気付きました。
よく考えたら、慶應湘南藤沢中等部がそうでしたよね。帰国子女も一般も同じ問題(国算理社or国算英の選択)でした。今まで意識していませんでしたが、同じような学校が他にもあるんですね。今回は帰国子女受験ではなくても、英語受験が可能な学校をちょっと見てみようと思います。英語受験可能ということは、入学後の中学高校でも英語教育に力を入れている可能性が高いと思います。
①英語受験の状況
まずは、英語受験が可能な学校数の推移です。2014年ごろから英語受験を行う学校が出てきたと言われていて、直近5年間ではこんな感じです(首都圏模試センター)。
2016年64校⇒2017年95校⇒2018年112校⇒2019年125校⇒2020年141校
5年で倍以上に増えていることがわかります。公立小学校では2020年度から5年生6年生で英語が正式な教科となったそうです。ですので、今後はますます英語で受験できる学校が増えていくでしょう。うちの下の子が受験するのは5年後なので、選択肢が増えているとうれしいです。
②採用している学校
英語入試を実施している学校のリストを拝見しましたが、正直に言うと知らない学校がほとんどでした。これは、もちろん私の勉強不足が一番の原因でしょう。 しかし、御三家やそれに準じるような超難関校で英語入試が導入されていないことから、上位校や有名校では英語入試に消極的であることが伺えます。
その理由を考えてみました。
- 現状の生徒募集がうまく機能していて入試を変更する必要がない
- 一般受験者と英語受験者のように英語力に差がある生徒がいる場合、取出し授業等の対応が必要となるが、リソースやノウハウがない
- 上位校では6年間の育成カリキュラムやノウハウが確立されていて、入学時点で英語力が高くなくても十分に育成できる
では、帰国子女受入校で受験科目に英語がある学校が、一般枠で英語入試を採用していない理由は何でしょうか?
これはよくわかりませんが、やはり日本でずっと生活していた小学生が、帰国子女と同等の英語力を身に着けるのは難しいからだと予想します。特に英検2級や準1級となると日本の高校卒業レベルになってしまいます。小学生で他の科目も勉強しながら英語をそのレベルにするのは非常に困難なのではないでしょうか。例えば、日本に住んだことのない外国の小学生が、日本人の同年代と同等の日本語力を身に着けられるか?と考えたらその困難さがわかると思います。
③試験形式
では、英語受験を採用している学校がどの程度のレベルの試験を実施しているか見てみます。まず、試験の形式は帰国子女入試と同様に学校によって様々なバリエーションがあります。
例えば
- 英検などの資格保持を条件に、独自の英語試験を実施しない学校(これには、国算などの科目試験を実施する学校と面接のみの学校があります。)
- 英語に加え、国算の3科目試験を実施する学校
- 英語と算数または国語の2科目試験を実施する学校(算数or国語の選択という学校もあります)
- 英語1科目試験を実施する学校
- 英語でのプレゼンや面談のみの学校
これに加えて出願書類に作文が含まれていたり面接の形式もいろいろあるので、対策は大変かもしれません。
また、英検を特待生の基準にしている学校や英検のレベルに応じて加点する学校もあるようです。
④レベル感
英語のレベルについては、何も書いていない学校の方が多いので、実際は過去問を入手したり学校に問い合わせる必要があると思います。記載されている範囲では、学校によって非常に幅が広く、英検4級相当としている学校から英検2級以上を想定している学校まであります。また、明示されていませんが、慶應SFCは英検準1級レベルと思われます。
このようにレベルにかなりの差がありますが、「帰国子女の中学受験⑩ 英語受験と英語の授業」でも書いたように、入試のレベルは入学後の授業のレベルにつながっていると考えられるので、簡単ならいいというものではなく、自分のレベルに合った学校を探すことが大切になるでしょう。